ごあいさつ



運命を変える一本の素晴らしき酒


こんにちは、店主の篠田和雄と申します。

私が篠田酒店に入社しました頃は、日本酒と言いましたら灘・伏見の大手メーカーの酒が当たり前の時代で、お使い物と言ったら、灘・伏見のお酒を差し上げないと失礼に当たるといった具合でした。そんな時代の中、私はある一つの日本酒に出合い、日本酒に対する概念が覆させられました。そのお酒こそ地元の開運という銘柄の大吟醸酒です。まるでフルーツのような香りが漂い、ジューシーな味わい。本当にびっくりしました。昭和50年代後半のこの頃は、まだ大吟醸というお酒は市場にはほとんど市販されていません。地方の地酒自体もほとんど評価されていない時代です。そんな頃に、ふと飲んでみた酒がとんでもないお酒。こんなすごい日本酒があるなんて素晴らしいと、私は、カルチャーショックを受け、そして感激してしまい、日本酒の持つ深い世界に引きずり込まれていきました。


偶然の重なりによる出会い


このお酒はたまたま私の祖父の時代からお付き合いをさせて頂いている蔵元さまのお酒であった事。そしてこのお酒を製造している土井酒造が、たまたまいち早く大吟醸を市販化されてきた事。そしてたまたまその開運大吟醸を製造している土井酒造が、全国でも最高レベルの酒質を誇る蔵になっていた事。そしてたまたま私が入社した頃に開運大吟醸が発売され始めた頃という絶好のタイミングであった事。これら偶然が重なり、私はたまたまいち早くこのお酒に出合う事が出来、日本酒の素晴らしさに出合える事が出来ました。

本当に感激した日本酒を伝えていきたい


驚きのお酒は開運大吟醸だけではありません。お客様から頂いた新潟の雪中梅の本醸造の味わいは本当に心深く突き刺さりました。素直で飲み手を包み込んでくれるような甘い香りが広がる。とろ~りとしたやわらかでとろみのあるうまみの膨らみがあり、口の中でのそのうまみの広がりが何ともたまりません。そして旨み、甘味がたっぷりあるのに、すっと入っていくんです。味わいには手作りならではの温かみみたいなものが伝わってきました。何ておいしい酒なんだと感銘を受けました。どんなところでどんな人が造っているんだろうか?お酒は売っていただけないだろうか?と、雪の中にも拘わらず蔵元の丸山酒造場さんまで早速でかけていった事が、つい昨日の事のように思い出します。丸山酒造場は昔からの手作りを守り、生産量が大変少なく、ほとんど地元で消費されてしまうためお取引は断られしまいました。しかし、日本酒には開運大吟醸のような芸術品があり、雪中梅のような心を打たれる本醸造のような日本酒がある事を知り、もうそれだけで十分。私は決意しました。地方の地酒などまだ誰も振り向いてくれないが、本当に感激した酒は必ず伝わる。そして全国にはまだ知られてないすごい日本酒が絶対埋もれている、そのような隠れた銘酒や、自分自身感激した日本酒を伝えていこう、そして一人でも多くこの感動を伝えていきたい。そんな気持ちから篠田酒店の現店主篠田和雄の地酒販売がスタートしました。